話は奈良時代まで遡る。和銅元年(708)、摂津国(現在の大阪府)に生まれた双子の兄弟は、幼い時より常人とは異なる賢さを有していた。9歳で仏門に入り、兄は善仲、弟は善算と名付けられた。二人は昼夜を問わず勉学に励んだが、いつしか外の世界での修行を望むようになった。神亀四年(727)、20歳になった善仲と善算は、寺を飛び出し、足に任せて修行する場所を探し求めた。すると、遠くに紫雲のたなびく山がみえる。二人はその山に登り、修行のための草庵(草で屋根をふいた庵)をかまえた。これが1300年続く勝尾寺の始まりである。
画像出典元:勝尾寺所蔵「勝尾寺縁起」
〔貞享元年(1684)〕